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「この香水の名前って『水』て意味だそうです」
「へぇ~、そうなんだ」
なんとなく……水野君に、ピッ!と緊張が走ったような気がした。
「塚本さんの香水が『水』て思った時、塚本さんにぴったりだと思いました」
「そう?」と首を傾げる。
「穏やかに、緩やかに流れる『水』を想像して、塚本さんみたいだなぁって」
そっか、俺ってそんなイメージか……自分ではよくわからないけど。
「でも、違いました!」
心の中で、ガクッ!と崩れる。なんだ、違うんだ。思わず、チラッと水野君を見る。
「香水の事を調べたら、違ってたんです。穏やかで緩やかな『水』じゃなくて、『猛々しい水』でした」
「俺のイメージじゃない?」
「最初そう思いました。塚本さんの香りには、ホッと安心する事が多かったから」
そんな事言われたら……照れる……!水野君の思わぬ言葉に、うまく反応できない。
「でも気が付けば、ドキドキと心臓が苦しくなったり、ザワザワと心が落ち着かなかったり……」
水野君が、肩を竦めて笑った。
「塚本さんの香りには、かなり乱されました。『猛々しい水』に、私の心が打ちつけられて……塚本さんに、恋しちゃいました」
「……」
ちょ、ちょっと待てっ!
俺は、混乱していた。今、告白されたよな?途中から、あれ……?と思う感じはあったけど。
香水!香水の話をしていたのに、なんでそこから“告白”にいくんだ?
そもそも今日は、俺が水野君に話をする為に、藤田さんが仕組んだ事じゃなかったのか?
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