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そう、苦笑して言った。白石さんからの着信を、水野君はやっぱり気付いていた。 本当に、どうしてこう、タイミングが悪いのか…… でも、これで一通りの事は話したから、いいはずだ。俺はそう思ったんだけど…… 「白石さんと会ったのは、元カレに会った時が最後ですか?」 再び、水野君が口を開いた。 「ん?そう……あっ、もう一回だけ会ったな……」 「どうして?」 「『白石さんとの事、誤解を解きたい人がいるから話してもいいか』て」 「それだけ?白石さん、了解してくれましたか?」 水野君、何が聞きたいの?よくわからない焦りのようなものを感じながら、誘導されるように質問に答えていく。 「……だから、こうして話してる」 「本当に?白石さん、本当に納得しているのでしょうか?」 「どうしてそう思うの?」 俺の問いに、水野君が話し出す。野球大会の昼休憩の後、二人で広場まで戻った。出入口の所で白石さんが待っていて、「陽平さん」と俺の事を呼んだ。 「まるで、牽制?されたような気がしました。『塚本さんに近付かないで!』て……」 「女の人って、鋭いね!」 自分の動揺をごまかすように冗談ぽく言った後、大きく息を吐いた。 水野君は、感じていたんだ。白石さんの“意地悪”を…… 何と言っていいかわからず、しばらく黙っている。水野君は、前を見据えたまま動かない。変にごまかしても、ムダだろう……水野君に何かを問われれば、きっと俺は、しどろもどろになるだけだ。 何度も言うが、おれにやましい事はない!水野君に、正直に話す事にする。再び、大きく息を吐いた。
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