489人が本棚に入れています
本棚に追加
一瞬目を閉じ、すぐに開く。伝えたかった想いを込めて、彼女を見つめる。
「『愛しい』と思ったから。君に触れる事を、どうしても我慢できなかった」
水野君の瞳から、涙が溢れた。俺は、愛しい彼女を抱き寄せる。
やっぱり、泣くんだ……
水野君も、俺の背中に腕を回す。とても穏やかな気持ちのはずなのに、彼女の温もりを感じていると、少しずつ鼓動が早くなってくる。
水野君、気付くかな?なんて思いながら、それでもいいかと、彼女を抱きしめた。
「また、ワイシャツを汚しちゃいました」
そう言って、水野君が顔を上げる。
「洗えばいいから」
と、愛しい想いのまま見つめる。
顔を近付けると、水野君が静かに目を閉じた。
彼女の柔らかい唇に、そっと触れて離れた。
「今日は、飲んでないよね?」
吐息が、熱を帯びる。
「はい……」
彼女の吐息も、熱を帯びている。
「じゃあ、全部覚えてて」
彼女が答える前に、唇を塞ぐ。触れては離れ、角度を変えながら、何度も、何度も。段々と、それでは足りなくなってくる。
自分の唇で、彼女の上唇、下唇をそれぞれ、やわやわと食む。彼女の唇の柔らかさと、甘さを味わいながら、やべえ……止まらなくなったら、どうする……?なんて思っていた。
前回の事を思い出し、無理をさせないように顔を少し離した。
すると、彼女が自分の手で、サッと口元を押さえた。
「ブシュッ!」
「っ!」
「ずびばせん……」
最初のコメントを投稿しよう!