14/14
前へ
/140ページ
次へ
水野君が手の中で、くぐもったくしゃみをした。 「……ごめん!エンジン切っちゃったから、寒くなったね」 笑いを堪えながら、車のエンジンをかける。 「もう!笑わないでください……」 バッグから取り出したティッシュで、鼻や口を押さえながらも、唇を尖らしている水野君。 ひとしきり肩を震わせて笑った後、もう一度彼女を見つめる。 「水野君」 「はい」返事をしながら、背筋を伸ばす。 「俺って元々、落ち着きがなくって、イタズラ好きで、お節介な性格なんだ」 「はい」 「大人になるうちに、人と深く関わる事が面倒になって、笑いながら、周りと一定の距離をおくようにしていた」 「はい……」 「でも君といると、自分でも忘れていた素の自分が出てしまう」 「はい」 「だから、覚悟しといて。君は……君だけは、落ち着きがなくって、イタズラ好きで、お節介な俺と関わる事になるから!」 「はい!望むところです!」 そう言って、ニッコリ微笑んだ。 彼女の額に、そっとキスを落とす。 これからも、よろしく。 俺の、愛しい人…… END
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

489人が本棚に入れています
本棚に追加