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村瀬君が、ニッコリ笑った。今までの中で、一番きれいな笑顔だと思った。 「一課は、みんなが認めてる。部長だって課長だって、村瀬君の為になると思うから、川下部長の人事を承諾したんだ」 「わかっていたんですけどね」と言って、村瀬君は肩を竦めた。 「塚本さん、私の本当の最後のお願い、聞いてくれますか?」 俺が頷くと、村瀬君は小さく息を吐いた。 「名前……私の名前を呼んでください。『君』も『さん』も付けないでくださいね」 それって……俺は、静かに息を吐く。 「ルミ」「はい!」「ルミ」「はい……」 目を閉じて頷いていた村瀬君が、そっと目を開く。 「私、塚本さんの声が特に好きだったんです。ありがとうございました」 そう言って、微笑んだ。俺は小さく頷くと、車のエンジンをかけた。 今回は、ちゃんと“けじめ”がつけられただろうか──
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