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一年程付き合ったが、元カノは夢を叶える為に会社を辞め、海外に留学してしまった。はっきり言って、俺はフラれた。 「勘弁してください!」を繰り返したが、聞いてもらえるはずもなく……時々、水野君から、労るような笑みを向けられた。 それにしても…… 他人の『恋愛事情』を、みんなよく知っている。多少脚色はしてあるが、間違っていないだけに、俺は苦笑しながら聞くはめになる。 『気にしてもらっている』と、思うことにしよう。 俺の隣に座った高野主任が、津村主任と話している水野君を見ながら、俺だけに聞こえるように言う。 「沙映ちゃん、可愛いよな。すごい美人て訳じゃないけど」 「ええ、まあ……」 何だか自分の気持ちを見透かされたようで、曖昧に答える。 「パーツパーツが、男心をそそるんだよ。あの唇、柔らかそうだよな」 きれいな二重瞼だが、目も鼻も、そんなに大きくない。 でも少し厚めの唇は、ツヤツヤしてプルプルして、本当に柔らかそうだ。 背は高くないが、細過ぎないし、胸もまあまあありそうだし…… ハッ!と気付く。今日、出会ったばかりの子なのに、俺は何を見てるんだ~! 邪念を振り払おうと、頭を振る。 「お前、何してるんだ?」 高野主任が、訝しげに俺を見る。「イヤ、別に」と、短く答える。 「沙映ちゃん、下ネタにもノリがいいんだよ。遊んでるのかと思ったら、ラブホの名前は全然知らないし」 ……いったい、何を話してるんですか!?自分の事は棚にあげ、高野主任の発言に少々呆れる。
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