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1. コンビニ跡地
場所は葛原市、葛原町。久我安里はこの町で育ってはや十七年目となった。
肩の上で整えられた毛先をゆらし、早朝飛んでいた鴉より明るい黒髪は太陽の光を反射して天使の輪を作り出している。
季節は春も終わる五月、爽やかな風すら吹き始めていた。
「よっ、ほっ、はっ、と！」
元気よく高めの声を出しながら階段を一段飛ばしで降りる。階段下に到着し、かがむ姿勢から背を伸ばした。スクールカバンにつけたキーホルダーがとなり合ってカチャカチャという軽い音を鳴らす。
黒目がちの大きな瞳は空を見上げたかと思うと、両腕を上に伸ばして縮まった骨をのばすかのように背伸びをした。
「んー、今日も快晴じゃあー！」
雲ひとつない澄み渡った青空を仰ぐ。薄がかったネイビーブルーにピンクのリボンが特徴的なセーラー服は葛原町のなかでも人気のあるデザインだ。
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