16人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後、授業が終わり安里と歌恋は教室で残って話をしていた。
「久我さん、白珠さん、ばいばーい!」
「うん、またねー!」
クラスメイトたちを見送った2人は席につく。彼女たちは前後の席で、安里は椅子の向きを後ろの歌恋のほうへ変えて座り頬杖をついた。
歌恋は机のうえで両手を組んでいる。話題はもっぱら、進路のことだった。
「歌恋は、行く大学決めとるの?」
「うん。親がいってたところに行きなさいっていわれてて」
「ふーん。そこでええの?」
「……うん、とは、言えないかな」
安里が歌恋を見る。
彼女の目には前髪が少しかかり、夕焼け空の色がにぶく亜麻色を照らしていた。眉を下げて、困ったような笑いを顔に浮かべる。
最初のコメントを投稿しよう!