21人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
止めたのは由美子だった。
「正一くんを蹴ったら、DVになっちゃうでしょ! 法廷で不利になるよ」
さすがバツイチの由美子、説得力がある。裁判という名の修羅場をくぐった女は強い。
「そしたら正一は何なの? あたしが暴力のDVなら、こいつは態度のDVだよ! 育児なんかほとんどしない」
「してますよ」
「いいとこ取りだけじゃない! 沐浴やウンチオムツの交換したこと、一度もないでしょ!」
紗矢が泣き崩れる。なんて男だ!
「そりゃ君が悪いな。正一くん、おとなしく殴られなさい」
「お義父さん!」
「ちょっと待った」
由美子が紗矢に近づいた。
「やめなさい、主婦も育児も」
「えっ、いいの?」
紗矢が泣き止む。由美子はゆっくりうなずいた。
最初のコメントを投稿しよう!