お孫さん、お帰りです

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 初めて会ったときは、ショッキングピンク色の肌にびっくりした。地球が他の惑星と交流してるのは知ってたけど、異星人に会ったことはなかったから。  幸いそのころには、地球にもPPCが普及していた。生の会話もスムーズにできた。時代は進み、どの国でも同性婚が認められた。私たちは2年間の交際を経て、出会って1年で結婚した。  結婚を急いだのは理由がある。急にインド支部への異動が決まった。このチャンスを逃したくないし、ラドナイアとも離れたくない。私たちは結婚して、ふたりでインドに引っ越した。  2ヶ月後には養子も引き取って、にぎやかに暮らしている。私はやっと、マゴヨビさんの予言を理解した。お腹からひり出さなくったって、子供は子供だよね! 幸いラドナイアも、新しい環境になじめている。今は屋台で働き、サンドイッチ作りの毎日だ。  結婚前ラドナイアを紹介したら、お父さんもお母さんも驚いていた。ラドナイアが異星人ってことより、私が同性と付き合ったのが衝撃みたい。ラドナイアの説明で、カミングアウトはうまくいった。ラドナイアの両親とはPPCの通信で話した。ふたりとも、涙を流して喜んでくれた。  そんな両親も、すっかり年を取った。お父さんはアンナと会わないうちに、天国へ。ラドナイアを紹介したときには、だいぶ病気が進んでいた。お母さんは生きてるけど、認知症で施設にいる。今は妹の顔もわからないらしい。  父が生き、母が健康なうちに、アンナを会わせてよかったな。やっぱり昔の私は、正解だったかも。そういえば今は何時だっけ?
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