第三章・あなたを知りたい

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「君は保科の息子さんなんだろう?  だったら問題はないんじゃないのか? とにかく、君にはどうしても聞いて もらわないと困る」 思わぬことを言われて戸惑った。 今のはどういう意味だろう。 そう思いながらも、お父さんの真剣な 様子に、俺の心は決まった。 そうまで言うなら、俺が代わりに聞いて 後で兄に話せば良い。 「分かりました。そうまでおっしゃるなら」 椅子に深く座り直して、話を聞く態勢を 整えた。 「まずは愛歩の質問の答えからだな」 話し始めたお父さんの表情は暗くて、 この話が気の重い物であることを窺わせる。 それもそうだろう、大方の予想はついて いるが、自分の娘に話す話題としては、 楽しいことではないだろうから。 「キングフーズの社長夫人だが、愛歩の 言う通り彼女は私の元妻、つまりおまえ達 兄妹の母親だ」 「やっぱり……」 隣の席に座る愛歩が、小さな声を漏らす。 話が始まる前に、彼女は向かい側の席から 俺の隣に移動していた。
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