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「嘘!ずるい、いつの間に彼氏なんて
つくったの!そんなの聞いてないわよ。
ついこの間まで募集中だったはずでしょ!」
「その通りよ。絶賛募集中だったわね」
「じゃあこの短期間でどうして……」
「一応お見合い、ってことになるのかな」
「なるほど、お見合いか。それにしたって
いつの間に。しかも早々に結婚が決まる
なんて。ねえ、相手はどんな人?」
「知らない。写真と釣書が送られてきたけど、
見てないし。そうだ、職業だけはわかるわ。
金融業で間違いないはずよ」
さらりと言うと、好奇心いっぱいに身を
乗り出していた親友が、再び動きを止めた。
「……どういうこと?お見合いしたのよね?
お互いに気に入ったから結婚するんでしょ?」
「私が気に入るかどうかは関係ないのよ。
選ぶ権利は先方だけ。そういう条件なの」
「条件?……なによそれ。愛歩、きちんと
初めから説明しなさい!」
美咲に隠し事をする気にはなれなくて、
ずばりと真実を伝えると、彼女の顔から
笑顔が消えた。
予想していた展開だったので、私は慌てる
ことなく彼女に話す。
簡潔に、事実のみを淡々と。
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