誰より素敵

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 向かった先は、駅近くの小路に先週新しくオープンしたお洒落なレストラン。定時で上がったおかげか、すでに満席に近い状態の店内でもすんなりと席に通された。可愛いお店ねとハシャグ彼女は先程までとは違い、女の顔をしている。  しばらくして男性二人組がやって来た。世に言うイケメン。どちらも長身で、さわやかな感じ。第一印象は、思っていたよりちゃんとしてそう、だ。 「あっくん遅いよー! 菜津美たち超待ったんだからねー! もうお腹ペコペコだよっ」  大変身を遂げる彼女に心の中で苦笑い。誤魔化すように水を飲む私。 「ごめんごめん。これでも急いで来たんだよ。その子が菜津美の友達?」 「そう! 船橋美咲(ふなばしみさき)ちゃん。超可愛いでしょ!」 「初めまして。俺は加藤彰宏(かとうあきひろ)。菜津美がいつもお世話になってます」  あっくんとやらに会釈をする。そして隣の彼を見る。 「こいつは俺の大学からの友人、橘翔平(たちばなしょうへい)。菜津美も、翔平と会うのは初めてだよな」 「うん! よろしくね翔平くん! あっくんの彼女の、薗部菜津美(そのべなつみ)でーす!」  そのままのキャラで通すつもりなのか、普段仕事で関わる彼女と同じ人物には到底思えない。吹き出してしまいそうなのをギュッと堪える。 「よろしくね、菜津美ちゃん、美咲ちゃん。翔平って呼んでね」  翔平がニコリと挨拶する。そして注文へと移るのだった。  料理が来るまでの間、あっくんと菜津美の馴れ初めやら、あっくんと翔平の大学時代の話やらを聞かされ、その間私は、旦那は今頃どこで何を食べてるのかと想像を膨らませていた。 「美咲ちゃんは? 彼氏いるの?」  サラダが運ばれて来ると同時に、翔平が私に問いかけた。 「旦那がいます」 「え! 既婚者なの? てっきり独身なのかと思った」  間髪入れず、あっくんが反応する。 「そうなんだー。指輪してないし、可愛いし、俺狙っちゃおうかと思ってたのになぁ」  今度は翔平が、わざとらしく肩を落とす。 「結婚指輪じゃなくて、時計にしたんです。ていうか菜津美ちゃん、結婚してるって伝えてくれてなかったの?」 「えー? だってぇ、その方が盛り上がるかと思ってぇ」  ごめんねっ、と謝る彼女は全然可愛くない。
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