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「まぁいっか。俺、不倫でも全く問題ないよ。美咲ちゃんがよければ今度二人でデートしようよ。略奪愛って逆に燃える」
「お断りします」
即答すると同時に料理が到着した。何を考えているのかさっぱりわからない。不倫でも問題ない? そんなこと独身者が言って良いことじゃないし、問題しかない。
不愉快。早く帰りたい。
「そんなに真面目に受け取らないでよ。軽い気持でさ、ね? 好みなんだよねー美咲ちゃんて」
しつこい。他の二人にフォローを頼もうと視線を配るが、カップルはニヤニヤと面白がっているのが丸わかりだ。苛つく。
「あの、本当にやめてください。そういうの求めてないので。菜津美ちゃん、私帰るわ」
「ごめんごめん、冗談だって! せっかくの料理が台無しになっちゃうよ。食べよう? ね!」
「そうだよ美咲ちゃん! ちょっとふざけただけだってー。食べよ!」
立ち上がって鞄を手に掛けた私に、慌てて二人が止めに入る。何の為に呼ばれたのか、来なきゃ良かったと本気で思う。
もったいないので、食事を済ませてさっさと切り上げようと席に付いて、黙々と食事を口に運ぶ。その間、菜津美は私の旦那について知り得た情報をペラペラと男二人に喋り尽くす。
「そんなにB専なの? 俺らにも写メ見せてよ」
「お断りします」
「恥ずかしいの?」
その言葉を聞いた瞬間、翔平に水をぶっかけた。
「きゃーっ!」
菜津美が叫ぶ。
「ふざけんな。私は太陽くんを恥ずかしいと思ったことなんて一度もない。見た目だけで生きてるおまえらに、彼を侮辱する資格なんかねぇわ。クソまずい夕飯をありがとう」
静かにそう言い放って、二千円を叩きつけて席を立った。
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