0人が本棚に入れています
本棚に追加
この世界に時間の概念があるのかは知らないが、俺の感覚として穏やかに時が流れた。
……そういえば、俺はいつ戻ることができるのだろうか?
「なんじゃ、もう戻りたくなったのか? あれだけ、あの世界を嫌っていたというのに……」
半ば呆れられた態度で、そう指摘される。
けれど、そういう訳ではなかった。
正直言って、こっちの世界の方が俺としては居心地がいい。神様に出会えて、意外な事実を知れて、楽しくて面白かった。
「そう言ってもらえると、呼んだ甲斐があったというものじゃ」
そう照れたように神様は笑う。
それでも、帰属本能というものだろうか。何となく、帰らなければならない――人としてここに長居しては行けない気がする。そういう義務感を感じた。
「……ふむ。まぁ、お前さんがそう思うのなら従おう。…………少々名残惜しいがの」
…………あぁ、俺もだよ。
「して、どうじゃ? まだその殺神衝動は残っておるのか?」
……ちょっとうまいこと言ってて腹が立つ。
やめろ! ドヤ顔するな、鬱陶しい!
…………はぁ、別にもうそんな気はない。
神様って奴は、俺の思ってた存在とは違ったしな。
「ホントに良いのか? 人間ごときにどうあっても殺されはせんが、一発ど突くぐらいのことは出来るぞ?」
最初のコメントを投稿しよう!