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いや、本当に遠慮しておく。
それに、見た目が美少女過ぎて殴れろうにも殴れん。
せめて、俺の嫌いな顔だったらいけたんだけどなぁ……。
「…………ふむ、これならどうじゃ?」
そう声をかけられ、神様の方を向いた――その瞬間、俺は黙ってその場で立ち上がり、駆け出す。
脚のバネを利用し、相手との短い距離で見事な加速を得た俺は、そのままジャンプ。全体重となけなしの加速力を乗せて、両足を叩き込んだ。
そのまま倒れている隙をついてマウントを取ると、とりあえず二、三発追加で殴っておく。
「――いたた。お前さん、さっきの殊勝な発言はどこへ行ったんじゃ……」
後ろから声がかかり、そのことに驚いた俺は振り上げていた手を止める。
気がつくと、目の前には誰も倒れていなかった。
振り向くと、頬を手で擦りしかめっ面の表情をした神様の姿が見て取れる。
その姿は、虫歯を痛がる小さな子供のようで何とも愛らしい。俺の荒んだ心も癒される。
「お前さん…………。分かってはいたが、物凄い情緒が不安定じゃの……」
――あっ、いやすまん。つい出来心で。
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