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でも仕方ないだろ。知っててやったんだろうが、変えた姿が俺を人間不信へと陥れたクソ野郎だったんだ。一発ケジメをつけるのが、人ってもんだよ。
俺の言い訳に苦笑をすると、神様は顔の前で手を振る。
「いやいや。お前さん、全然一発で満足しとらんかったぞ。それに、もう二年前の話だから今更恨みはない、とあっちの世界で言っておったではないか」
恨みはないさ。それはホント。ただまぁ、それでもやっておくべき事ってあるだろ。……義務感ってやつ?
無茶苦茶な言い訳を平然と言い放つ俺を前に、神様はやれやれとばかりに両手を上げて首を振る。
「……まぁ、今のはわしが煽ったせいでもあるしな。甘んじて、報いとして受け入れよう」
さすが、神様。懐の深さが半端ない。
「――それでじゃ、本当にお前さんは満足したのかの? またあの世界に戻るわけじゃが、やっていけるのか?」
すると、今までの表情とは異なり、やけに真剣みを帯びた表情で問いかけてくる。
その言葉と表情に、俺は一つため息をついた。
しょうがないさ、誰でもない俺が決めたんだからな。
確かに今でも世界はクソッタレだと思うし、人間はゴミだと感じるし、そんなことしか考えられない自分が嫌いだ。
そこで俺は深く息を吸い、俺らしい笑みを向けて言葉を紡ぐ。
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