神の素顔、かくありき

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 ……そうだ、俺は知覚している。見ているのではなく、無意識に感じ取れているのだ。  よく分からないし、自分でも言っていることが理解できないのだが……自身の感覚だけがそれを受け取っていた。  こうして矛盾するこの光景を無矛盾に理解することができた俺は、思考の矛先を別の部分に向ける。  それは、俺がこの世界に来る前、一体何をしていたのかという話。  これは記憶の中で最も新しい事柄を引っ張り出せば良いだけなので、簡単だ。  その場面とはつまり――ベッドに横たわる記憶だった。学校に必要な教材なんかを鞄に詰め込んだ俺は、適当にPCで動画を見て、趣味で書いている小説を投稿し、いい時間になったので寝た……はずだ。  そして気が付いたらこの場所にいた。  普通に考えれば、ここは夢の世界なのだろう。現実的にあり得ないこの世界観から見ても、妥当すぎるほどの推測だった。  ――その時だ。 「なんだ、思ったよりも慌てふためかんの。そのすかした内面は、意外にも本物じゃったか」  何の前触れもなく、急に背後から声がかかる。  ゆっくりと振り向くと、そこには綺麗な黒髪に紫がかった瞳を持つ小柄な少女が立っていた。     
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