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その見た目は控えめに言っても可愛らしく、成長すればアイドルや女優として十分にやっていけるほどだ。そこら辺を一人で歩いてみろ、すぐにでも大きいお友達に連れ去られるぞ。
「ふむ。ま、悪くない褒め言葉じゃ」
まるで心でも読んだかのような返事。まぁ、俺の夢なんだし俺自身の考えが相手に筒抜けでもおかしくはないか……。
「まーだ、ここが夢と思っておるのか」
しかし、目の前の少女は俺の考えを即座に否定する。
「こういう時は……そうそう、こうするんじゃったかな?」
パチンッと音が鳴り響くと、俺の頬は熱を持ったように赤く腫れる。
生まれて初めて俺は女の子にビンタをされた。……てか、いてぇ。
「これで、ここが夢じゃないと理解してくれたかの? とは言っても、どうせこの世界から戻ればお主の記憶は夢として処理され、いずれ忘れるのじゃがな」
……じゃあ、なんで叩いたんだよ。叩かれ損じゃねーか。急に、しかも本気で叩かれた平手はたとえ美少女のものだとしてもご褒美にはならねぇぞ。
恨みがましい目線を向けるも、少女は素知らぬ顔で立っている。
ていうか、夢じゃないならここはどこだよ? お前は誰で、何で人の心読めてるんだ?
「はぁ、愚痴と質問の多い奴じゃ。今から説明してやるわい」
俺の矢継ぎ早の文句に、やれやれといった態度で少女は肩を竦めた。
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