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「まずこの場所についてじゃが……特に名前などはないし、お前さんらの知識で理解できるようなものでもない。異世界でも天界でも魔界でも、好きな呼び方をするがいいさ」
早々に、説明になっていない説明を受けた。得られた情報量が微塵もない。
「次にわしの正体じゃが――お前さんの世界でいうところの神様ってやつじゃな。お前さんらが考えていることは全て実現できるうえに、お前さんらが想像もできんようなことまで、何でも出来る存在じゃ」
そういって、無い胸を張る神様。
その割には、胸部が貧相じゃありませんかね? それと、俺の質問の意図としては素性よりも名前を聞いたつもりだったんだがな。
「この姿は、お主の好みを反映させたものじゃ。わしのせいではないわい。それと、名前とは一種の識別子じゃ。この世界には生憎とわししかおらんのでな。名前など必要ないし、付けてくれる者もおらんわ。好きに呼べ」
そう語る横顔は少し寂しそうに見えなくもない。
もしかして、一人に嫌気がさし、話し相手が欲しくて俺はここに呼ばれたのだろうか?
「ほぉ、案外いい読みをしておるぞ。その通り、わしはお前さんと話をするためにここへ呼んだのじゃ。その変わった思想を持つお前さんと、な」
最後の一言を聞いて、俺の口元は引き攣った笑みを浮かべる。
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