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「ふむ……。その事についてなんじゃが、確かにわしは世界――具体的には宇宙という空間を作ったぞ? ただ、その先の惑星の誕生や生命の進化には手を加えておらんわい。じゃから、わしを責めるのは少々お門違いではなかろうか?」
そう拗ねたように口を尖らせる。
しかし、神様が世界を作ったから俺たち人間が生まれたわけで……だったら、その責任はやはり神様にあるのではなかろうか。
「……そんなことないわい。そうやって元を辿ろうとするなら、そもそもわしが生まれた何らかの原因に文句を言えば良かろう」
…………え、それはどういうことで?
言われたことが理解出来ず、頭を悩ませる。いや、意味は分かるのだ。ただ、それに対する理解が追いつかない。
だって、じゃあ神様はどうやって生まれたんだ、という話になってしまう。
「そうなんじゃよ。わしも気がついた頃にはここにいたし、この世界も当然存在した。無から生まれたのか、誰かに創り出されたのか、分からず終いじゃ」
最初こそ困惑していた俺も、発言を聞いているうちに神様の言いたいことを理解してきた。
俺たちは自分たちの尺度で物事を捉えていたため、宇宙の誕生について神の存在や様々な仮説を立ててきた。
けれど、それよりも高位の存在がいると分かった今、今度はその存在の誕生について考えるのが筋というものだろう。
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