神の素顔、かくありき

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 だとするなら、世界を作った要因、その要因を作った要因、と以下無限に俺は責任を求めなくちゃいけないことになる。  それは最早、人間が踏み入れることのできる領域ではなかった。  どこまで考えようとも、誕生の謎を解き明かすことは出来ないのだ。 「ふむ、何にせよ納得してくれたようで何よりじゃ」  喋り疲れたのか、そこで一息つく神様。  その姿があまりにも人間らしくて、神様としての威厳をあまり感じられないな。 「……そんなこと言われても困るわい。お前さんらが勝手なイメージを押し付けているだけじゃろ」  ……あっ、勝手なイメージと言えば、人間って色々な神様を創り出しているけど実際はアンタ一人だけなんだな。  やけに多神教を推してくる先生がウチの学校にいるが、このことを知ったら激怒しそうだ……。 「うむ、それもまた勝手な押し付けじゃの。わしの存在を騙りよって。初めて神の概念が出てきた時なんか、正直わしのことがバレたんじゃないかと冷や冷やしたぞ」  あー、神様視点ではそう感じるのか。なんか新鮮。 「……他人事じゃのう。あと、アレじゃ。やけに都合のいいように解釈されとるのが気に食わん」  そんなこと言われても……創ったのは人間なんだし、そりゃ都合のいいようにもなるでしょ。  そう伝えてみるも、神様は拗ねたようにそっぽを向くだけだ。     
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