雨の庭

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雨の庭

「あーした天気になーれ!」    ボクは、つっかけたスニーカーをどんより曇った空にむかって、蹴り上げた。  目の前の水たまりに、泥がいっぱいついた靴が、裏返しに落ちてきた。 「やっぱり、だっめじゃん、タケシ」  ミオは、両手を腰にあて、大人みたいなため息を大げさについた。  ぬれたスニーカーを履くと、靴下にしみて気持ち悪くて、くやしかった。  あしたは遠足で、町外れにある『こどもの森公園』に行くんだ。  森の中にはアスレチックのコースがあって、広い池にはザリガニや亀もいるし、小川も流れていて水遊びもできる。  牧場にはなんとポニーがいて、さわれるだけじゃなくて、乗せてもらえるんだぜ。    ボクらはみんなめちゃくちゃ楽しみにしてて、すごく、ぜったい、とにかく行きたいんだ!  今日だって、二年三組全員で特大のてるてる坊主を作ったんだけど、アイツの力には勝てないって、みんな半分あきらめてる。  そうだよ、アイツが悪いんだ!決めたぞ! 「行こう、ミオ」 「どこへ?」 「雨やしきだよ」 「うっそー、マジぃ?」 
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