18人が本棚に入れています
本棚に追加
それは幼なじみでクラスメートでもある高橋 柊くん。
同い年だけど勉強から生活一般まで、まるでお兄ちゃんみたいに私の面倒を見てくれる優しい人だ。
「相澤 吉祥先輩。知らないのか、あんな無駄に目立つ人。先輩、なんだって?」
いつも穏やかな柊くんがなんだか険しい声色。
「な、なにも。ボールを拾ってあげただけ……」
私の返答に”ふうん”と言ったきり、彼は先輩の後ろ姿を目で追っている。
「ならいいけど、あの人女の子にチャラいから気を付けるんだよ。全く、ベストカップルが聞いて呆れる」
「え……?」
べすとかっぷる?
「それも知らないのか。毎年新聞部が、”学校一、お似合いのカップルは誰と誰?”ってアンケート取るだろ。今年選ばれたのが吉祥先輩とE組の二宮さん」
「あ、そう言えばあちこちの掲示板で見た……」
確かモデルさんみたいな美人の写真が貼ってあったような気がする。どんな内容かはちゃんと読まなかった。
(彼女……いるんだ)
胸の中に生まれた鈴が、さっきとは少し違う音でリン……と鳴る。
最初のコメントを投稿しよう!