デモンストレーション3

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デモンストレーション3

 コロシアムの扉を蹴破り、一人の少女がその長い栗毛色の髪をなびかせ叫ぶ。 「何を勝手に終わっているのじゃ?」  それはこの腐った世界で聞いた初めての救いの言葉だった。  地域統治者の軍服を身にまとい。胸につけている勲章は彼女が歩んできた栄光を表す。  ちょび髭は不快感をあらわにするが、少女の顔を見ると態度を変える。 「これはこれは。カンナギ家のご令嬢様ではございませんか。どうかされましたか?」 「さっきからこやつを買うと言っているのにどうして販売を終えるのじゃ?」 「そのような通信は一度も入っておりませんでしたが……。こちらの不手際です。申し訳ございません」 「じゃあ、8000万にまけなさい」 「申し訳ございませんがディスカウントは受け付けておりません」  少女は不快感をあらわにし声を荒げる。 「わらわがここまで直々に来たのじゃ。そなたの不手際のせいで。この時間どうしてくれるのじゃ?」 「……お嬢様には勝てませんね。9500万でお売りいたします」 「まあ、よかろう。残りは貸しにしてやろう」  少女は小さな端末をポケットから取り出し、ポチポチと操作する。  ちょび髭は愛想笑いを浮かべ少女に会釈する。 「ご入金ありがとうございます」 「指定の場所まで転送させましょうか?」 「いらない、爺、来るのじゃ」  彼女が指を鳴らすと空間が裂け、右目に眼帯を付けた白髪の男性が姿を現す。その服装は彼女と同じものであるが勲章などは無い。代わりに何の装飾もされていない槍を一本だけ持っていた。 「この子に転送機を」 「承知しました」  眼帯から手平サイズのキューブを受け取るとキューブは伸縮して包帯の様になり俺の左手首に巻き付きついた。 「さあ、ついてくるのじゃ」  少女は俺に手招きをする。  買い手がついたのか……?  俺は呆気に取られてい忘れていたが、s902の事を思い出し、彼がいた所を見たが、そこにはもう誰もいなかった。  アイツは俺を撃たなかったのか? それともこの少女の事を気づいていたのだろうか?  またどこかでアイツに会えたなら、今日の事を聞いてみよう。  俺が彼女の元まで近寄ると彼女は再び指を鳴らす。  転送機が光り輝き、視界を奪う。徐々に輝きが落ち着き、目をなじませるとそこはどこかの会議室の様な場所であった。
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