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つぶらな瞳をしてショートヘアー女は振り返る。
「え?」
目の前にあったのは巨大な腕。鋭い爪が彼女の装甲を引き裂く。
ガキン!
装甲がショートヘアーの女を守ったが吹き飛ばされ、体制を崩す。
「だ……誰か、助けて!」
軍服達がカバーに入ろうとするが、誰も追いつけない。
吹き飛ばされた女はショートヘアーの髪をぶるぶると恐怖で震わせた。
再び、レオタイプがよだれをたらし女に襲い掛かる。
彼女は最後の一瞬を見届けた。
しかし、彼女が見たのは自分の最後ではない。それは黒い閃光。まがまがしく淀んだ光は轟音を鳴らし、風を舞い上げる。
「グオオオオ!」
レオタイプは絶命の声を上げるとその体を分離させた。
何が起きたのか理解できなかった彼女は砂塵舞う荒野に黒髪を揺らし黒で統一された武具を構え、まだ自分と同じぐらいの年代のどこか寂しそうな瞳の青年を見る。
彼女は青年に声をかけようとしたが青年は彼女の方を見ようともせず、違うレオタイプを強襲する。
戦場で不謹慎ではあるが彼女の瞳に映っていたのは彼だけだった。
彼が舞う戦場には黒い輝生石の光が舞い落ちる。それはまるで輝生物を死へと誘う黒い霧の様にも見えた。8体いたはずのレオタイプが一瞬にして残骸に変わっていく。
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