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そんな時代だからこそ独立傭兵組織ストーンズという軍事組織が生まれたのだろう。この組織は中立として傭兵の販売を生業としている。戦争孤児や貧しい家庭の子供が売られ、傭兵として育てられるのだが、販売される歳の18まで生きられるのは10%を満たない。生き残る事ができれば戦闘のスペシャリストとして各国で重宝される。ただし、よそ者として特に危険な任務につかされ20歳まで生き残るのは販売された者達のおよそ5%を満たない。彼ら、彼女らは何の為に生まれ、何の為に死ぬのだろうか?
x902年 独立傭兵組織ストーンズ管轄領
ここに立つのも今日で最後か……。5歳の頃から幾度となく戦ってきたコロシアムを見渡す。300m×300mのバトルフィールドとそれを円形に覆う観客席で構成されている。観客席は今日も満員である。満員と言ってもそこにあるのはカメラだけだ。誰かが見ている場合はランプが緑に光るので全て緑という事は満員という事だ。
準備運動を済ませ、k818と刻まれた黒い無骨な刀と黒いウエットスーツの様な装甲のチェックを行う。特に異常はない。
「k818。調子はどうだい?」
声の方に目線を映すと見知った顔がそこにはあった。白く輝く巨大な銃を軽々と持ち上げ、肌にぴったりと合った白い装甲が無駄のない体を包み込んでいる。中性的な顔立ちで一見すると女性と間違われること多いが幼少期からパートナーを務めている男だ。
「s902。問題ないよ」
「前線はいつもどおり任すよ。でも今日で君とお別れというのは心のない僕でも悲しく思うよ」
「ああ、俺もだよ」
もう少し悲しみを二人で分かち合いたかったがマイクを持ったちょび髭の男が叫ぶ。
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