第五神話 神様!マユリを助けてください! ①

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 クリスマス・イヴということもあり、お客さんが大勢来るだろうと気合を入れてバイトに臨んだが、平日レベルの客入りであり、ほとんどが中高年の常連さんばかりだった。7時30分をまわったところで、(あと1時間30分か……)そう思っていたところ、 「おーい神様ー!お母さんから電話ー!急ぎだって」  店長が電話の子機を持って厨房から現れた。 「もしもし?どうしたの母さ…」 「和也!大変なの!今マユリが痙攣(けいれん)を起こしてるの!」 「は?なんだよそれ!え、ただの風邪なんだろ!?」 「分からない……分からない!」 「きゅ、救急車!救急車を呼んで!」 「いま洋一郎さんが119に電話してくれているの!」  母さんが話す後ろあたりから、新しい父さんである神様 洋一郎が、救急隊と電話で話している声が聞こえた。 「俺は!俺はどうしたらいい!」 「とにかく早く帰ってきて!」  そう言って母さんが電話を切った。店長も横で俺が話しているのを聞いてくれており、電話を切ると間もなく、神様、すぐ帰れと言ってくれた。  俺はすぐさまバイトのユニフォームの上からジャンバーを羽織り、持ってきた着替えや荷物もスマホも全てロッカーに入れたままバイト先を飛び出し、力の限り自転車を漕いだ。 駅前にある居酒屋から自宅までは、どれだけ頑張っても15分はかかる。 (マユリ!マユリ!マユリ!どうか…どうか無事でいてくれ!)    
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