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第六神話 神様!マユリを助けてください! ②
やっとの思いで家の前に到着したが、救急車などの影はなく、まるで何事もなかったかのようにいつもの静けさを保っていた。玄関のドアにメモが貼ってある。母さんの字だ。
~ 駅前にある市立病院への搬送が決まった。すぐ来て! 母 ~
駅前にある市立病院は、俺のバイト先から自転車で3分もかからないところだ。
俺は表現できない怒り、悲しみに包まれたが、そんなことでくよくよしてられない。再び自転車に乗り、元来た道を全力で走った。
市立病院の夜間救急入口の前で、神様 洋一郎が俺を待ってくれていた。俺はもうフラフラだった。
「和也くんよく聞いてね。いま救急担当の先生から聞いたんだけど、マユリちゃん、インフルエンザだったらしい。それもインフルエンザ脳症かもしれないって…」
「なんだよ!昨日はただの風邪って言われてたじゃないか! 」
「……」
神様 洋一郎は黙った。
「マユリは!マユリは今どこ!」
「5階の個室だ!母さんがついてる。」
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