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日付が変わり、クリスマス・イヴからクリスマスとなった。クリスマスパーティを家族4人ですると言い、当日まで家の飾りつけを頑張っていたマユリがかわいそうだった。
病気が回復し、退院できればその日にクリスマスパーティをやってやろうと思っていた矢先、今まで一定のリズムで鳴っていた人工呼吸器が、急にリズムを変えて鳴り出した。
ピー!ピー!ピー! ピー!ピー!ピー!
明らかな異常音だ。俺は左手に持っていたナースコールを押した。
「マユリ!マユリ!」
「マユリ!」
「父さん!!今すぐ先生を呼んできて!」
俺は泣きながら初めて神様 洋一郎のことを『父さん』と呼んだ。
間もなく先生と看護師さんが到着し、人工呼吸器のモニターを確認する。
「マユリちゃんの呼吸が浅くなってきています!声をかけ続けて!」
俺と母さんは泣きながら全力でマユリを呼び続けた。
「マユリ!マユリ!頼む!マユリ!助けてよ!父さん!神様!マユリを助けてよ!!」
俺がそう叫んだ瞬間、天と地がひっくり返るような強烈なめまいに襲われ、部屋の空気が明らかに変化したことに気付いた。隣にいる母さんや先生、看護師さん、人工呼吸器に目をやるとなぜか止まっている。動画再生中に一時停止を押した感覚に似ていた。
(なんだよ…これ………)
そう思った瞬間、俺の後ろから強烈な気配を感じた。明らかに俺が出会ったことのない、この世のものとは思えないほどの強烈な気配だった。心臓が激しく鼓動する。俺はゆっくりと後ろへ振り向いた。
そこには、眩しいほど光り輝いている神様 洋一郎、つまり、俺の新しい父さんの姿があった。
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