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第七神話 ハゲとるやないか
光り輝く神様 洋一郎が、俺の方へ向かって歩いてくる。俺は体が硬直し、声も出ないほどビビッていた。
「和也、マユリを助けよう」
どこかで聞いたことのあるその懐かしい声を、思い出すのに時間はかからなかった。
「父さん!」
俺がそう言うと、神様 洋一郎はさらに光を強め、光のヴェールに包まれた。そして光の中から、小学校5年生の時に突然いなくなった俺の本当の父さんが、パンツ一丁の姿で現れたのだ。
(前より禿げてる…)
俺は素直にそう思ってしまったが、間もなく
「うるせえ!気にしてんだ!」
と言われた。心も全て見通されているようだ。
「和也、今まですまなかったな。こっちにも色々訳があってな。こういう形になってしまった。またゆっくり話すが、いずれお前も俺の仕事を継ぐその時がくることを忘れるなよ」
「マユリは!父さん!マユリを助けて!」
「もう助かってるよ」
父さんはそう言うと、再び強い光を放ち、姿を消してしまった。神様 洋一郎の姿もなくなっていた。
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