第七神話 ハゲとるやないか

1/1
前へ
/16ページ
次へ

第七神話 ハゲとるやないか

 光り輝く神様 洋一郎が、俺の方へ向かって歩いてくる。俺は体が硬直し、声も出ないほどビビッていた。 「和也、マユリを助けよう」  どこかで聞いたことのあるその懐かしい声を、思い出すのに時間はかからなかった。 「父さん!」  俺がそう言うと、神様 洋一郎はさらに光を強め、光のヴェールに包まれた。そして光の中から、小学校5年生の時に突然いなくなった俺の本当の父さんが、パンツ一丁の姿で現れたのだ。 (前より禿げてる…)  俺は素直にそう思ってしまったが、間もなく 「うるせえ!気にしてんだ!」  と言われた。心も全て見通されているようだ。 「和也、今まですまなかったな。こっちにも色々訳があってな。こういう形になってしまった。またゆっくり話すが、いずれお前も俺の仕事を継ぐその時がくることを忘れるなよ」 「マユリは!父さん!マユリを助けて!」 「もう助かってるよ」  父さんはそう言うと、再び強い光を放ち、姿を消してしまった。神様 洋一郎の姿もなくなっていた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加