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第二神話 何でやねん
やや間があって、母さんが改めてその神様なんとかを紹介する。
「この人はね。洋一郎さん。神様 洋一郎さんていうの。凄い名字でしょう?本当なのよー」
確かに、凄い名字だ。この世に『神様』なんていう名字が存在し得るのか……。
「初めまして。本当、凄い名字ですね。初めて聞きましたよ」
「ええ……。よく言われます」
少し照れ笑いをし、右手で頭を押さえながら前かがみになった神様 洋一郎を改めて観察する。
グレーのスーツ姿で、身長はだいたい170㎝くらいだろうか。俺と同じ高さに見える。体系はやや小太りだが、年齢の加減で仕方がないといったところだろう。歳はきっと母さんと同じくらいで40代後半だな。顔は…。まあ良い方だ。ほりも深い。うん。本当の父さんよりは男前だ。髪の毛もフサフサだし!
(しかし本当の父さんはどこへ行ってしまったんだろう…)
そんなことを考えていると、俺のズボンをギュッと握っていたマユリが、チョンチョンと引っ張ってくる。
「どうした?マユリ」
「マユリも『こんばんは』を言いたいの…」
「あ、君がマユリちゃんだね?ゴメンね。じゃ、改めて。こんばんは」
「か、神様ぁ、こんばんふえぇ」
緊張のあまり、こんばんはの最後に口から空気がいっぱい漏れてしまったマユリだったが、結果的に4人全員の緊張の糸が切れが瞬間だった。マユリは大したものだ。
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