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第三神話 この度、名字が神様になった神様 和也です。
夜の9時になり、神様 洋一郎はここから歩いて10分という自宅へと帰って行った。
「また来てね!神様!」
夕食後もテレビゲームで遊んでもらっていたマユリは、上機嫌で神様 洋一郎に両手を振って見送った。母さんは、ちょっとそこまで送ってくると言い、神様 洋一郎に着いて行った。
「お兄ちゃん!神様、いい人だったね!お母さん、結婚するのかな!?ねぇ!お兄ちゃんってば!」
ああそうだなと言いかけたが、マユリが結婚などと言い出したので、俺は黙った。
マユリが寝た後、テレビの部屋で俺が一人で深夜番組を見ていると、
「ねえ。和也。どうだった?洋一郎さん」
三面鏡に向かい、いつもより濃いめの化粧を落としながら母さんが尋ねてきた。
「うん。いい人だと思うよ。名字を聞いたときは驚いたけど…」
「ほんとよねー。私も初めて聞いたときは自分の耳を疑ったわ」
「どうやって知り合ったの?」
どうやら職場の上司らしい。父さんが5年前に蒸発してから、母さんは車の部品を組み立てる工場で働きだした。神様 洋一郎がマユリの質問で、車の部品を作っていると返答していた時になんとなく分かっていた。
「結婚………」
「えっ!?」
「マユリが…結婚するのかなって言ってたよ」
「………。実はこの前、洋一郎さんにプロポーズされたの」
「だから俺たちに会ってほしいって言ったわけだ。ということはプロポーズ、受けるつもりなの?」
「………。受けようかな…」
俺は賛成も反対もせず、再びテレビを見続けた。
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