第三神話 この度、名字が神様になった神様 和也です。

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 それから、神様 洋一郎が家に来る回数が少しずつ増え、俺もマユリもその都度出迎えた。 マユリも神様の家にも遊びに行ってみたい! と何度か言っていたが、会社の独身寮に住んでいるとのことで、俺たちが行くことはなかった。結婚後しばらくは、この家に4人で暮らすことになるそうだ。  そして俺たちが神様 洋一郎と出会ってから3か月後、母さんと神様 洋一郎が結婚した。結婚といっても、皆で役所へ行き、籍を入れる為の手続きを済ませただけだった。マユリは母さんのウエディングドレス姿を見たいとずっと言っていたが、今回は叶わなかったようだ。  役所で手続きをしている間も、俺は終始平静を装っていたが、内心、新しい名字にドキドキしていた。なんといっても今日から俺の名字は神様。『神様 和也』なのだ。旧姓の田中よ、今までありがとう。そのときほんの一瞬、本当の父さんのことを思い出したが、神様 和也の誕生に酔いしれていた。  (なんか…。かっこええやん)  俺は、心の声が大阪弁になっていることにも気付かず、この何とも言えない幸福感の余韻に浸っていた。
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