550人が本棚に入れています
本棚に追加
…武骨な指先で、中途半端にしていた祐也の、ワイシャツのボタンを外す。
窒息しそうなほどのキスの後で酩酊しているその隙に祐也のワイシャツの前を観音開きにした弾は、ピンクに色づき、固く尖っている小さな果実を眼前に晒した。
──滑らかな、白い肌。
淡い茂みに続く臍の形も綺麗で、弾は息を飲み、暫しその絶景に見とれた。
…初めて祐也を見た時、その外見に一目で惹かれた自分に驚いた、遠い日の記憶が脳裏に甦る。
(きっとあの時から、好きだった)
こうなることを望むような、強い恋情。
でもあの頃は、そんな風に祐也を見ていた自覚はなかった。
とにかく自分の容姿で祐也に敬遠されないように努めることに必死で、だったことも思い出す。
そんな自分が、祐也の傍にいる姿を誰に見られても違和感なく受け入れられるように心を砕くことで、知り合った当時はいっぱいいっぱいだった。
そうしているうちに祐也の人となりにも惹かれ、一年、半年と同じ時間を共有するうちに…祐也を、誰にも渡したくないという欲求が弾の胸を占めた。
誰にも見せたくない。 誰にも触らせたくない。
その肌に直接触れていいのは自分だけだと言いたい。
誰にも渡さないと、大声で叫びたい。
だけどその思いを口にすることができない日々は淡々と過ぎ行き、言えない気持ちだけが弾の中に積もるたびに、頭の中には、言えない数ぶんの妄想だけが膨らみ続けていった。
'
最初のコメントを投稿しよう!