episode233 訪問者シラノ

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溜息交じりの魅力的な笑顔。 「あれ?僕の考えていることは違う?」 「いや、そうじゃなくて――」 シノは雄弁な僕の唇に指を押し当てると 首を横に振る。 「僕の名前」 「名前?」 「シラノ・ドなんとかって……そんな大それた名前じゃないよ」 「でも、望が……」 「僕の名前、白野悠太」 「シラノユウタ……?」 「たしかに祖父はフランス系カナダ人だけど、父親は純日本人だし。君のお兄様だけだよ。僕をシノなんて呼ぶの」 あの天然素材が。 何を勘違いしたんだか。 「ユウタか」 改めて名前を呼ぶと 返事の代わり――。 もう一度不意のキスが落とされて 「ああ。君には是非、普通にそう呼んでもらいたいね」 困ったような甘い声でシノあらためシラノユウタが囁いた。
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