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溜息交じりの魅力的な笑顔。
「あれ?僕の考えていることは違う?」
「いや、そうじゃなくて――」
シノは雄弁な僕の唇に指を押し当てると
首を横に振る。
「僕の名前」
「名前?」
「シラノ・ドなんとかって……そんな大それた名前じゃないよ」
「でも、望が……」
「僕の名前、白野悠太」
「シラノユウタ……?」
「たしかに祖父はフランス系カナダ人だけど、父親は純日本人だし。君のお兄様だけだよ。僕をシノなんて呼ぶの」
あの天然素材が。
何を勘違いしたんだか。
「ユウタか」
改めて名前を呼ぶと
返事の代わり――。
もう一度不意のキスが落とされて
「ああ。君には是非、普通にそう呼んでもらいたいね」
困ったような甘い声でシノあらためシラノユウタが囁いた。
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