「量子のケーキ」

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やがて、 量子は友達に紹介され、 ようやくできたボーイフレンドとケーキを分けた。 再び二つに分けたケーキ・・ 美味しかった。 ・・けれど、その美味しさは、 以前、友達と二人で分けたケーキとどう違うのか? 量子には分からなかった。 けれど、量子は思った・・ 誰かと美味しさを共有できればケーキの美味しさをもっと深めることができる・・ 量子はネットを通じて友達をどんどん増やし、 一つのケーキをどんどん細かく切っていった。 やがて、2つが4個・・やがて、10個・・20個・・・・100個 それはもうケーキと呼べないようなものに変化していった。 量子にはケーキの数を増やせばいい、そんなことは頭に浮かばなかったのだ。 量子にとって一人だった頃の美味しかったケーキ・・ 独りでケーキを食べていた素敵な時間、 それはもうどこにもない。 そして、量子は再び・・ (了) *量子は「りょうこ」とも「りょうし」とも読みます。
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