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第1章 僕は死んだはずなんですが
真っ暗で何も見えないところに僕はいた。頭に直接、どこからともなく声が響きだす。
『おまえなんてここにいる意味ないんだよ』
『暗いし、キモイよね、●●って』
『●●君、いじめられてないよね?先生もさ、大事にはしたくないし、大丈夫だよね?』
(やめて…)
『あなた、最近成績落ちているじゃない。帰りが最近遅いのって、遊んでいるじゃないでしょうね。弟を見習ったらどうなの』
『兄さん、家以外で近づいてこないでね。兄さんの弟って思われたくないし』
『問題だけは起こすなよ。…私の仕事にもかかわってくるんだからな』
声が頭に響き痛みがましてくる。
「やめてくれ!!!」
「人間さん!…大丈夫か?」
目の前に赤い瞳の女性の顔があった。何かが背中をさすってくれているようだ。
「…み、水」
「はい。飲んで」
後ろにあった水差しから水を注いだグラスを口に当てられる。
ゆっくり水を飲み終わると、頭を撫でられた。
「ちゃんと飲めたな」
彼女は笑っていた。その笑顔にびっくりして思わず目をそらすが、優しく撫でられるのは止まらない。
「…ここはどこですか…っです、えっ!」
やっと心が落ち着き、顔を上げると僕は白い尻尾に包まれていた。
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