第1章 僕は死んだはずなんですが

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「はははは」 なぜかわからないが笑いがこみ上げてきて、目から涙が流れた。 (死んだことに後悔しているわけではないのに、なぜ涙が流れるのだろうか) 「大丈夫か?…あ、そうだ!じゃあ、君の名前は椿にしよう」 「…椿?」 「うん!名前の中に春って入っているだろう。人間界では春は始まりと終わりの季節だっていうし、これから気に花を咲かせるように魂も大きくなってほしいからな。深くていい名前だろう?な?椿!」 満面の笑みで名前を呼ばれると、心の奥底から温かいものがあふれてくるような気がした。 (もう話が違うとか、死なせてくれとかどうでもよくなってしまった。…最終的にはこの世からいなくなるんだし、彼女とここで不思議な生活をするのもいいのかもしれない) 「椿?」 不思議そうに彼女は首をかしげて僕の顔を見ている。 「はい。よろしくお願いします、茜さん」 満面の笑みで彼女に向ける。 すると、彼女がびっくり目を丸くしたと思ったら、顔を近づけてきた。 「今、すごくいいにおい!ちょっとだけ味見!」 「んっ!」 柔らかいものが唇に当たった。柔らかくみずみずしいそれは僕の唇に吸い付き、体の力が口から抜けていくのを感じた。     
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