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序章 僕の始まり
グラウンドから運動部の声、校舎からは吹奏楽部が奏でる音が聞こえる。皆がそれぞれの自分のやりたいことに向き合っているのだろう。誰も僕がここにいることなど気にもとめていない。
だから、僕が学校の屋上から飛び降りたところで、誰も何も感じず日常は続いていく。
僕は学校に友達と呼べるような人はいない。
僕を友達と呼ぶ人たちは感情のはけ口として僕を使う。胸、腹、手足、体のあらゆるところが痛く重い。そんな環境に身を置いて2年になるが、両親はそんな僕に気付いていないし、家でも無関心だ。成績がよく何も問題を起こさなければ何も言わないし、関わろうとも思っていないのだろう。
そんな僕がいようがいまいが変わらない。死んだら、ただちょっと騒ぎになるだけだ。
心身ともに重く明日が来るのも億劫で、明日が来なければいいと思うようになったのはいつからだろう。
屋上のフェンスをよじ登り、夕日を見る。茜色に輝く夕日とその周りに漂う雲のコントラストは人生最後の景色として最高だが、どんなに綺麗でも…。
「…こんな世界に生きていても死んでいるのと同じだ」
瞳から涙が止まどなく伝っていく。この涙は死ぬまで止まることはないだろう。夕日に一歩を進みだそうとした。
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