第1章 新人

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第1章 新人

23xx年。 地球に突如エイリアンが飛来した。 そのエイリアンはあらゆる生物の身体を乗っ取り、コントロールする。性格を凶暴にし、身体能力を上げ、姿を変容させた。 人類は、寄生された猫の心臓を裂き、この小さなエイリアンを見つける。グロテスクな魚のような見ためをしていることから、“Parasitic Fish(パラスティックフィッシュ)”、通称『PF』という名がついた。 知能はほぼなく、異常に生命力の強いPFは、徐々に地球上のあらゆる生物を侵略していった。 人類はPFの脅威から逃れるため、各地に強固な砦を築き閉じこもって身を守ることにし、そして、戦闘能力を強化した人類を生み出して兵士とした。 彼らは、『Grand Cog(グランド・コッグ)』(偉大なる歯車)と呼ばれ、各砦に配備されている。軍隊のように組織立てられた彼らは、強さや職務により、1級から5級までの階級で分けられていた。 しかし、組織に腐敗はつきもの。 グランドコッグの上層部は、不正を行う輩を取り締まるため、秘密裏にある階級を新たに作る事にする。幼少のころから鍛え上げられた、エリート中のエリートのみが入る事の出来る階級。 “特級”を。 グランドコッグ本部の、総帥の部屋。椅子に座った総帥は、目を上げ、机の前に立っている青年を見つめた。 青年は年齢23歳。身長170㎝ほど、黒くつややかな長髪を後ろでくくり、切れ長な目の色白で美しい顔に、抜け目のない笑みを浮かべて総帥を見下ろしている。支給された白い軍服が嫌みでなく似合う、どこか常人離れした美青年だった。 「特級NO.25『カミヤ』」 総帥は、指を組み、カミヤを見つめた。 「最近、政府の転覆をはかろうと、ある研究がおこなわれている。君に、特級の身分を隠し、その内情を探ってくる任務を与える」 総帥は、資料をカミヤに差し出した。 「君は“ロマニーヒル”という街に“新人”として配属される。表向きの階級は3級だ。君は通常任務をこなしつつ、そこの研究所で内部事情を探ってくれ」 「了解しました」 資料を手に取り、カミヤは静かに敬礼した。
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