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「好きです!!先輩!!」
「いや、無理だから」
それは私が高校に入学してから半年ほどの毎日の日課のような会話。
「もー、先輩。この頃断るのはやーい。」
「いやいや、当たり前のように断られなれてるお前に引くわ」
「これでも少しは悲しいんですよ!!でも、それを上回るくらいに先輩が好きですきで…」
「はいはい。」
抱きつこうとする私の頭を撫でながら防ぐ新太先輩。
口が悪くて無愛想。茶色の少し長めの前髪から見える切れ長の目。
色々と合間って私たち後輩からは怖がられているけど、私は優しいのを知っている。
「ちび助。お前毎日本当に飽きないな。」
「飽きるってなんですか??本気なのに!!それに、私の名前はちび助じゃなくて千鶴ですー。ちづって呼んでください♪」
「お前はちび助で十分だわ」
「むー。確かに先輩の身長からしたら150㎝の私なんて小さいですけど。」
180㎝の先輩と私はその差30㎝。
この前頑張って写真撮ろうとしたら先輩の顔半分切れるは私の頭しか入らないはで悲しくなったのが思い出された。
「そういや、何で俺の居場所知ってんの??」
「あ、それはいつも先輩と一緒にいるバンダナさんが教えてくれます!!」
「……コンのやつめ。」
「コンさんっていうんですか??毎回頑張れよっていって送り出してくれますよ。優しい方ですね」
「あいつ……シメる」
そういうと先輩は立ち上がり私が来た道へと歩きだした。
「えー、もう行っちゃうんですか??まだ、授業まで時間ありますよ??」
「やることで来たからな。お前も授業には遅れるなよ。」
そういうと校舎の方に消えていった。
一人取り残された私は先輩が居た芝に腰掛け空をみた。
雲一つない空に眩しい太陽。そこにくる少し涼しい優しい風がほほを撫でていく。
その風に身を任せ私は目を閉じた。
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