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幸いにも店には誰も来ておらず今日は人通りも少なすぎるほど誰も店の前にも通らなかったから二人がキスをするところを見ているものは誰も居なかった。
そして雪那は少しだけ濡れた薔薇色の唇を雪兎の耳元へ寄せて内緒話をするように囁く
「でも、今日は傷ついたからお仕置きは確定……ね?」
その言葉にびくっと震える雪兎を更に抱きしめて雪那は妖しく頬笑む。あんな男なんかにこの子の事をあげるわけないと心のなかで言いながらふと、薔薇よりも少し遠くに置かれているクチナシが目についた。
瞳のハイライトが消えて無感動にそれを見つめる
雪那はクチナシがあまり好きではない
何故なら先程の男性、白亜を連想させられるから……
「―――――ふふっ」
「…せ、雪那?」
突然笑った雪那に雪兎は少し驚き名前を呼んだ。
雪那はそれに何でもないと答えて雪兎の首筋にキスを落とし雪兎の顔を見つめて蕩けるように微笑む。
「―――好きよ、雪兎ちゃん」
「俺も好きに決まってるだろうが……」
恥じらいながら自分も好きだと言う雪兎は可愛らしいと言う雪兎を見て雪那は満足そうに笑い
クチナシの事などもう頭のなかに無かった。
レジの台の上に置いてある花瓶の中のヘリオトロープとアヤメがまるで雪兎と雪那の様だと思ったのは一体誰だったのだろうか……?
おまけ
ヘリオトロープは雪兎を
アヤメは雪那を
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