第5話 ただ貴女を愛してるだけ

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と、不安そうな顔でそんな普段なら言わないような事を言い、雪那ははぁぁぁっと、深いため息をついた後雪兎の顔を見て愛おしそうに見つめた。 「……ごめんね、ちゃんと、ベッドで抱いてあげる…いっぱい、いっぱい、愛してあげる」 「……そんなに、いっぱいはいい…愛してくれてるのはいつも分かっているし」 そう言うと雪兎はにこっと笑った。その笑みを見て雪那は (この子の、この笑みが好きで…仕方無くて私は……) 心の中で雪那は何かを言った。 懐かしむようにその今の雪兎の笑みと昔の【あの雪兎】の笑みを重ねて思い出し、ふっと笑った。 「じゃあ、雪兎ちゃん出ようか?」 「あ、あぁ、うん…ぁ…ちょっと立てない…」 「大丈夫よ、先に私が出て抱き上げるから」 「分かった」 そう言って雪那は先にザバッと浴槽からでて、自分よりも背が高い雪兎を軽々と抱き上げ横抱きにする。そうして、ふと、雪那は 「ちゃんと、今度はあんなお粗末にしないから…ベッドでは気持ちよくなって、ね?」 そう、雪兎へと言うといつも通りのあの微笑みで雪兎に笑った。それに雪兎は 「……あんまり、激しくしないでくれ」 と、そう言ってぎゅっと首に手を回していた腕に力を込めた。そんな雪兎を見ながら雪那は (ただ、貴女を愛してるのに嫉妬でどうにかなりそう…) そう考えていた。     
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