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と、不安そうな顔でそんな普段なら言わないような事を言い、雪那ははぁぁぁっと、深いため息をついた後雪兎の顔を見て愛おしそうに見つめた。
「……ごめんね、ちゃんと、ベッドで抱いてあげる…いっぱい、いっぱい、愛してあげる」
「……そんなに、いっぱいはいい…愛してくれてるのはいつも分かっているし」
そう言うと雪兎はにこっと笑った。その笑みを見て雪那は
(この子の、この笑みが好きで…仕方無くて私は……)
心の中で雪那は何かを言った。
懐かしむようにその今の雪兎の笑みと昔の【あの雪兎】の笑みを重ねて思い出し、ふっと笑った。
「じゃあ、雪兎ちゃん出ようか?」
「あ、あぁ、うん…ぁ…ちょっと立てない…」
「大丈夫よ、先に私が出て抱き上げるから」
「分かった」
そう言って雪那は先にザバッと浴槽からでて、自分よりも背が高い雪兎を軽々と抱き上げ横抱きにする。そうして、ふと、雪那は
「ちゃんと、今度はあんなお粗末にしないから…ベッドでは気持ちよくなって、ね?」
そう、雪兎へと言うといつも通りのあの微笑みで雪兎に笑った。それに雪兎は
「……あんまり、激しくしないでくれ」
と、そう言ってぎゅっと首に手を回していた腕に力を込めた。そんな雪兎を見ながら雪那は
(ただ、貴女を愛してるのに嫉妬でどうにかなりそう…)
そう考えていた。
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