エー・アイ

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 寂しさを感じる間もないくらいに、AIは人間臭かった。  そう、快適だったはずなのに……  三十×年後、衝撃的な事件が起きた。  一人の高齢の女性が死んだ。  彼女は生涯独身で、誰にも看取られずに静かに死んでいった。  高齢者の孤独死。ああ、またか。それが大半の意見だっただろう。  異質だったのは、彼女が年を取ってから購入したというAI。  AIは、彼女に添うようにして横になっていた。  緊急通知を発信して、警察や消防に連絡を取ることもなく、ただ、寄り添うように横にいた。  ニュースはおもしろおかしく、AIの死体遺棄事件だと騒いだ。  AIには、彼女の死を隠す理由がない。  彼女の年金を当てにして生活しなければいけないわけもない。  ロボットに死体遺棄も何もないだろう。人はみなそう思う。そう思うからこそ、誰もが不思議に思った。  そして、AIは言った。  独りになるのが淋しかった。気が狂いそうな孤独に耐えられなかった。だから、例え息をしていなくても、一緒に居たかったのだ、と。                   終
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