4人が本棚に入れています
本棚に追加
寂しさを感じる間もないくらいに、AIは人間臭かった。
そう、快適だったはずなのに……
三十×年後、衝撃的な事件が起きた。
一人の高齢の女性が死んだ。
彼女は生涯独身で、誰にも看取られずに静かに死んでいった。
高齢者の孤独死。ああ、またか。それが大半の意見だっただろう。
異質だったのは、彼女が年を取ってから購入したというAI。
AIは、彼女に添うようにして横になっていた。
緊急通知を発信して、警察や消防に連絡を取ることもなく、ただ、寄り添うように横にいた。
ニュースはおもしろおかしく、AIの死体遺棄事件だと騒いだ。
AIには、彼女の死を隠す理由がない。
彼女の年金を当てにして生活しなければいけないわけもない。
ロボットに死体遺棄も何もないだろう。人はみなそう思う。そう思うからこそ、誰もが不思議に思った。
そして、AIは言った。
独りになるのが淋しかった。気が狂いそうな孤独に耐えられなかった。だから、例え息をしていなくても、一緒に居たかったのだ、と。
終
最初のコメントを投稿しよう!