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◆
逃げ出してしまった。
勿論、不良が怖かったというのもあるけれど、陸からもう一度最後通告を受けるのが俺は怖かったのだ。
全力疾走で自宅にたどり着き、ゼイゼイと息を切らしながら、ベッドに倒れ込む。
逃げてしまった自分、陸ときちんと友人として向かい合う事が出来ない自分に嫌気がさす。
「陸、陸ごめん。」
胃のあたりからじわじわとこみ上げてきたものが、ブワリと涙になって目からこぼれおちる。
俺が、おかしいから周りにも、俺と陸の関係が歪である事に気付かれてしまうんだ。
グズグズと泣いて、夕飯の時間になったが、その日陸は俺の家には来なかった。
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