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まっすぐに陸が俺を見つめたかと思ったら、大きく腕を開いてそのまま俺の事を抱き込んだ。
家では良くやられるその行為だが、今は外で。その想定外の行動に慌ててしまう。
そういえば、他の不良さん達とぎゅうぎゅうと抱きしめられて自由が利かない体の中、首だけ何とか動かして周りを見るがそこには誰もいなかった。
それを疑問に思う暇も無く、陸が耳元にすり寄った。
「ねえ、コタは俺の物だよね?」
耳元で妙に色気のある声で言われ、ゾクリとしてしまう。
「はっ、何?何が言いたいの陸。」
状況に全く追いつけず半ばパニックに近い恐慌状態で陸に聞き返した。
陸はぐっと詰まった後、何かを覚悟したような真剣な表情になった。
「もう、コタは俺の事好きじゃ無くなったのか?」
「へ?」
じわじわと赤くなっていく俺に陸は満足したように笑った。
「陸がもう、俺の事好きじゃなくても、絶対に俺の物にすると思ってたけど良かった。」「ちょっとまって、何のはな……。」
俺の言葉は途中で途切れた。
突然陸が俺の首に噛みついたからだ。
ぴりりとした痛みが走る。
ちょ、何で噛んでるんだよ。
「コタいい匂いする。食べてもいい?」
「食べるって、本当にどうしたんだよ陸。」
何か非常にヤバいような気がして腕を突っ張って陸から離れようとするが、陸はびくともしない。
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