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こうやって俺の家にいるときの陸はニコニコ笑いながらたわいもない話をしていて昔と変りない。
僕の事も昔のまま『コタ』って呼んでくれるし。
夕食が終わって食器を一緒に片付けると陸は、後ろからぎゅっと俺の事を抱きしめてくる。
実際の所抱きしめると言うよりくっついてきているだけのつもりなのかもしれない。
すんすん、と匂いを嗅ぐように鼻をすりつけられる。
まるで、犬のようなそれは陸の昔からのクセのようなものだ。
顔が赤くならないようにと冷静を心がけながら、陸に声をかける。
「俺の部屋行く?」
コクリとうなずいたので、そのまま部屋に向かう。その最中も陸は俺にべったりと張り付いたままだ。
部屋に入ったとたん、体をひっくり返され正面から擦り寄られる。
だけど、俺はこれが単なる甘えだと言う事を知っている。
だって、俺は振られたんだから……。
中学2年の冬、俺は陸に告白して振られている。
普通気持ち悪いと嫌われるはずのところ、こうやって幼馴染として一緒に居られるからいいじゃないか……。そう自分に言い聞かせる。
ぎゅうっとしがみついてくる陸の頭を犬にしてやるみたいにわしわしと撫でた。
少し、固めの髪の毛が気持ちいい。
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