狂犬様と俺

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陸がそのぐちゃぐちゃになった教室で、ぼろ雑巾の様になったクラスメイトをぶら下げる様にして持っていた。 金色の髪と腰のあたりから垂れ下がる派手なチェーン。相手も恐らく不良だという事が分かる。 「陸、やめろ。」 口をついて出た言葉は思ったより短くて、それから固く低い声だった。 無表情のまま、陸がこちらを向いた。 「馬鹿、何やってるんだよ。」 「え?こいつが影虎先輩を馬鹿にしたから。」 無邪気に言う陸に溜息しか出ない。 「その位で一々暴れない。」 つかつかと陸に近づいて軽く頭を一回はたいた。 ポカンとする、陸と、ボロボロになりながらも驚きに目を見開く不良さん。 「殴ってごめんなさいは?」 なるべく無表情に見える様にして陸に問いかけた。 途端に陸はくしゃくしゃに顔をゆがめた。 ぶら下げていた金髪の不良を持つ手を離すと、ぼそりと小さな声で「ゴメンナサイ。」と呟いた。 それから、直ぐに教師が何人も来て事情を聞かれた。 結論からいうと、陸は停学になった。 退学にならなかったのは奇跡、だと思う。 教師に説教を受けている最中、ずっと手を握られていた所為で退室できず隣にいたけど、むっすりと不機嫌そうに話を聞く陸は初めて見て結構新鮮だった。 翌日、金髪の不良さんからは偉く丁寧にお礼を言われた。     
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