狂犬様と俺

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まるで、俺がいなければ死んでいた。そんな雰囲気で言われて驚いた。 彼の怪我の様子は、とてもとても気になってたので大したことがなくて本当に良かった。 ◆ 家に帰ると当然陸はいない。 朝と夕方、勝手に出かけていないか学校から電話が来るためずっと家にいるのだ。 停学中だから家にいるのが当たり前なのだが、いつものリズムが崩されてしまって嫌だった。 人を傷つけてしまったのだから当然のことだという事は分かってる。 ただ、勝手に俺が寂しくなってしまってるだけなんだ。 いてもたってもいられなくなって、1階のリビングダイニングにいる母さんに声をかけた。 それじゃあ、おかずタッパーに詰めていきなさい。 そう言われ、二人分の夕食を移した。 母さんに詰めてもらったご飯も持って、陸の家に急いだ。 何の連絡もしてないけど、きっと怒られない。 ほとんど使ったことの無かった合鍵を使う。 玄関のドアを開けると 「お邪魔します。」 と言う。 そんなに大きな声を出したつもりじゃないのに、陸は2階から階段を勢いよく降りてきた。 「コタ?どうしたの。」 一緒にご飯を食べよう、それだけ言えれば充分なのに何も言葉が出てこなくて持ってきた夕食を置くと、そのまま陸に抱き着いた。     
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